くらしのなかの暦と言葉を集めてみました
芒種 ぼうしゅ
芒(のぎ)をもつ植物の種を蒔くころ。
稲や麦などの穂先にある針のような突起を芒という。
芒種 【蟷螂生ず】かまきりしょうず/とうろううまる
カマキリが生まれるころ。大人のカマキリは秋の季語。
(新暦では、およそ6月6日〜6月10日ごろ)
一昨日、庭でカマキリの赤ちゃんを見つけた。気が付かなかったけど、どこかに卵嚢が産み付けられていたのだろう。カマキリは発泡スチロールのようなカサカサした楕円形の塊から、小さなカマキリのかたちでわらわらと生まれてくる。
子どものころに、いなかの茶畑でみつけた卵嚢を持ち帰り、それっきりすっかり忘れてしまっていた。ある日、学校から帰ると、家中の床を小さなカマキリが小さなカマを振りかざして大行進していた。
それまでもカエルの卵を持ち帰り、大量のオタマジャクシが孵り、手足が出てしっぽがなくなり、当然だが大量のカエルが発生したりしていた我が家だったが、カマキリの赤ちゃんが机の引き出しからわらわらと溢れ出てくる景色はシュールで、ちょっとした事件だった。カマキリは生まれた瞬間からカマキリのかたちをしている。まずはそのことに驚いた。カマキリのかたちのまま、何度か脱皮を繰り返し、大きくなっていく。カマキリの産卵は8月~10月ごろだから、たぶん夏休みに卵嚢を持ち帰り、その後、冬から春を私の机の引き出しの中でぬくぬくと成長していたのだ。
小さなカマキリたちは、勇ましくカマを振り上げていても、そのほとんどが他の虫の餌となってしまう、生態系の底辺のような存在だ。そして、無事に大人になったカマキリは昆虫界の頂点の仲間入りをする。カマキリは動くものは何でも捕まえて食べてしまうので、畑の害虫も益虫もおかまいなしにせっせと食べてくれる。農作物には害を与えないので、卵嚢を大切にする農家さんもいる。
農作物がぐんぐん成長するこの時期に、季語にカマキリが登場するのは生態系の豊かさの象徴のようだ。
庭で出会った赤ちゃんカマキリの写真を取り損ねたので、フリー素材から拝借しました。若者感のあるカマキリ。
出典:葉の上で身構えるカマキリ https://www.pakutaso.com/20120704206post-1757.html